2012年4月1日日曜日

小松亮太@Blue Note Tokyo

[日時]2012/04/01(日) 20:45開演
[会場]ブルーノート東京
[料金]¥7,350
[時間]1時間15分
[出演者]
 小松亮太 (バンドネオン)
 北村聡 (バンドネオン)
 早川純 (バンドネオン)
 鈴木崇朗 (バンドネオン)
 鈴木厚志 (ピアノ)
 近藤久美子 (ヴァイオリン)
 伊能修 (ヴァイオリン)
 川口静華 (ヴァイオリン)
 吉田有紀子 (ヴィオラ)
 松本卓以 (チェロ)
 田中伸司 (ベース)

[曲目]
 01.タキート・ミリタール / 軍靴の響き
 02.ブエノスアイレスの夏
 03.ガジョシエゴ /盲目の雄鶏
 04.1980年代
 05.ブドリのテーマ(仮)『グスコーブドリの伝記』より
 06.オブリビオン / 忘却
 07.コラール
 08.コントラバヘアンド
 09.ビジェギータ
 10.パラ・ルシルセ
 11.メリディオナル
 12.ラ・クンパルシータ
 13.アディオス・ノニーノ 〜 リベルタンゴ

 3/3に宮城、3/29と30に札幌、3/31に名古屋、4/1に東京と回る、小松亮太&オルケスタ・ティピカのミニツアー。その最終日のブルーノート東京のセカンドステージに参戦してきました。ブルーノート会員のポイントが溜まって招待券をいただいていたので、飲食代のみの負担で済んだのがラッキーでした。

 日本では1960年代にコンチネンタルタンゴが流行。その為うちの両親はアルフレッド・ハウゼ等のコンチネンタルタンゴがお気に入りで、自分が子供の頃は父の運転する自動車の中でタンゴを聴いていた覚えがあります。今も母はCDでよく聴いています。そんなわけで自分はタンゴは特別に興味があるわけではないけど、全く聴かない音楽ではないという程度の興味。しかし菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールの公演ですっかりバンドネオンの音色の虜になり、自分の中でタンゴへの興味が湧いていました。そこへ今回は会場がお馴染みのブルーノート東京ということで行ってみる気になりました。

 小松亮太はCDは何枚か、あとはCSのミュージックエアでタンゴ番組の司会をしていましたので、多少は知識があります。しかし入場してみると、その女性客の多さにびっくり。これは菊地成孔以来の事態。男女比率は半々か、2対3で若干女性が多いくらい。客の年齢層はやや高めながら、女性客は30〜40代もかなり目につきました。小松亮太は38歳で若手とは言えないけどさわやかな人柄ですし、素敵な音楽を演奏し、弁も立つので、女性に人気があるのは当然ですね。女性客の大量動員もあってチケットは売り切れの超満員。バーカウンターの前にまでお客が溢れていました。

 小松亮太の説明によると、オルケスタ・ティピカとは「標準編成の楽団」という意味で、つまりタンゴ全盛期の標準的な構成のバンドを意味するそうです。しかしこの構成、今は本場アルゼンチンでもなかなかないとか。冒頭で「メンバーが多い。即ちお金がかかっている」と笑いを取っていましたが、11人のバンドを維持するには経済的にそこそこ豊かな国でなくては無理ですね。ちなみにwikipediaを調べればわかりますが、アルゼンチンは経済危機や軍事政権以前は結構豊かだったそうです。

 バンドメンバーには昨年に菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールで見た早川純もいました。小松亮太の弟子らしい鈴木崇朗はかなり若く、バンドネオン奏者が復活しつつあるそうです。小松亮太の上の世代は68歳の京谷弘司氏で、小松亮太と30歳違い。タンゴとバンドネオンが如何に地位低下していたかの証左ですね。

 演目は小松亮太の意向でバラエティに富んでいました。タンゴに対し「アストラ・ピアソラは素晴らしいが、他は所詮タンゴ」みたいな風潮を打破しようとしている様です。アストラ・ピアソラの曲目をやるにしても、08〜10は修業時代のものを混ぜていました。他にもピアソラ以前のものや逆にピアソラ以後のものという様に、タンゴの時代的変遷も追っていました。最初と最後に良く知られる曲で盛り上げ、中盤はお客さんのタンゴ感を豊かにしようという意図があったのでしょう。もっとも販売しているCDのタイトルが「俺のピアソラ」てなもんで、ピアソラを否定しているわけではないでしょう。

 05は小松亮太が映画音楽を担当する『グスコーブドリの伝記』からの一曲。タイトルは未定だそうですが、1分程度のプロモーションビデオの後に演奏されました。映画でどう使われるか楽しみです。

 初めて聴いた曲で一番気に入ったのは04「1980年代」。オマール・バレンテ作曲で、コロコロ転がる可愛らしいピアノがフューチャーされたロマンティックな曲。ダンス音楽らしく、うきうきします。

 03「ガジョシエゴ」も素敵です。メランコリックに転調するところがいいです。

 タンゴはスタッカートが効いていて、溌剌とした感じですね。拍子がジャズと対極的で、私にとっては味が変わっていて好ましい。食事と同じで、同じ音楽ばかりでは飽きます(笑)。

 というわけで、なかなか楽しい時間を過ごせました。11奏団はさすがの迫力で、音の厚みに圧倒されました。札幌の公演の模様がWOWOWで放送されるみたいなので要チェックです。

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